岐阜県中津川(なかつがわ)市の苗木城跡は、鎌倉時代にこの地に勢力を持っていた遠山氏の城で、戦国時代には甲斐の武田氏、そして織田氏の抗争の場にもなった城です。また江戸時代には遠山氏がほぼ1万石の石高で大名として領有し、明治を迎えました。
続100名城に認定された苗木城は私も数回行った城ですが、行く度にいろんな発見があります。
また特徴的なのはこの地域の特徴のひとつ、巨石を活かした築城法で、クレーンなどの重機がまだ無かった時代によくこれだけのものを作ったな〜と感心していまします。
では、そんな苗木城の見どころをチェックしてみましょう!
もくじ
苗木城のアクセス方法を説明します。まずは電車編。
苗木城最寄りの電車の駅は、JR中津川駅です。電車で訪れる場合は中津川駅を目指します。
駅に着いたら1番バス乗り場から付知峡倉屋温泉行き、もしくは加子母総合事務所行きに乗り、苗木バス停で降ります。
苗木バス停は中津川駅から数えて6つ目のバス停です。料金は大人390円、小学生200円です。
バス停を降りて徒歩20分くらいで苗木城跡に着きます。
次に車でのアクセス方法です。まずはカーナビの建物検索で、苗木城、もしくは苗木遠山資料館と入力すると出てくると思います。資料館の裏山が苗木城跡です。
またロードマップで行く場合は、苗木遠山資料館の住所をチェックして行くとスムーズです。
苗木遠山資料館の住所
岐阜県中津川市苗木2897番地の2
次に駐車場についてちょっとした地元ネタを記載しておきます。
普通に考えると苗木遠山資料館に入館して、そのまま資料館の駐車場に車を停めて苗木城に登っていくと思われがちですが、実は資料館の上に苗木城の駐車場があります。
資料館に着いたら駐車場には入らず、資料館横の道から坂を登っていきます。すると第一駐車場、第二駐車場という看板があるので、その看板に従って進むと駐車場があるんです。
もちろん狙うは第一駐車場です。
これが第一駐車場。ちゃんとアスファルト舗装になっています。
でも土日祝日になると駐車する車も多く、また続100名城に認定されてから訪れる人も増えましたので、もし満車の場合は第二駐車場、もしくは資料館まで引き返して車を停めましょう。
苗木城は日本城郭協会の続100名城に認定されています。
スタンプ設置場所は苗木遠山資料館の中です。
スタンプ帳は普通に本屋でも販売していますが、もし無ければネット通販でも購入できます。(楽天なら送料無料)
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苗木城の御朱印が販売されている場所は、続100名城スタンプと同じ苗木遠山資料館の中です。販売価格は300円。
これは神社やお寺の御朱印みたいに御朱印帳に記載するものではなく、あらかじめ書かれたものを頂きます。
また裏面がシールになっていますので、紙の御朱印帳にペタッと貼ることも可能。
ちなみに苗木城跡の御朱印の売り上げは、苗木城を整備するためにも使われるということです。
私が何度か苗木城に登った体験から思う感想ですが、苗木城に登る前に是非、ふもとにある苗木遠山資料館に立ち寄る事をオススメします。
その理由はトイレ休憩や作戦会議など以外に、資料館でチェックしておきたいものが4つあるからです。
有料施設なのですが、苗木城巡りを充実させるためにこの4つのポイントは押さえておきましょう。
【開館時間】
・午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分)
【休館日】
・毎週月曜日(月曜日が祝日等にあたる場合はその翌日)
・12月27日〜1月5日
・その他臨時休館する場合あり
【入館料】
・320円(10名以上の団体は270円)
・小学生、中学生および幼児は無料
その1 無料パンフ
まずは苗木城の無料パンフ。苗木城の歴史や中津川市の観光地の事が書かれています。
特に重要なのは浅野孝司氏によりCGで復元された苗木城の写真がある事です。
見開きの左にCG復元の苗木城。右に現状の苗木城があり、建物があった時代と現在を見比べる事ができます。
また巡った後には資料として保存できるクオリティです。
その2 縄張り図
資料館の中に苗木城の縄張り図もあるので、登る前にゲットしておきましょう。
縄張り図とは、簡単に言うと苗木城の見取り図で、これがあると 『あ、今は二の丸のココにいるんだな〜』みたいに現地での場所を把握できます。
これも無料です。
その3 ジオラマ
資料館には江戸時代の苗木城のジオラマがあります。つまり建物があった時代の苗木城の模型です。
今は建物は天守台以外に復元されていないので、このジオラマを見ると当時の様子がよく分かり、現代とのギャップに驚かされます。
その4 風吹門
苗木城三ノ丸入口の風吹門が資料館に移築されています。現存する苗木城の建造物のひとつなので、かなり貴重ですよね。
ちなみに城跡に登ると、風吹門跡は看板付きで紹介されています。
だからその場に行った時、かつての門を事前に見ておくと、理解も深まるし想像もできますよね。
ということで苗木城遠山資料館には、この他にもいろんな貴重な資料がたくさんありますが、最低限でもこの4つは必ずチェックしておきたいポイントだと思いますね。
苗木城は豪快な巨石がゴロゴロしており、初めて訪れるとその迫力に圧倒されます。
また巨石と共にチェックしておきたいのが石垣です。なぜかというと、苗木城内にはいろんな種類の石垣があるからです。主なものを6つ紹介しますね。
野面石乱層積
大きさの違う石自然石を積み上げて築く工法。技術的には初期の石積み方法で、戦国時代の山城によく使われている技法です。写真は天守台脇の石垣。
ノミ切り加工整合積
石同士が極力密着するようにノミを使用して積石を加工して積み上げる工法。石の各辺が一直線なのが特徴です。写真は御朱印蔵の石垣。
切込石整層積
石の形を整えて積み上げられる工法。ノミ切り加工整合積と違い積石の表面はあまり加工されておらず、他の工法の石と比べて小さいのが特徴。写真は錦蔵門下の石垣。
打込石整層積
布目状に積まれており、積み石の形がほぼ長方形になっています。積石の間にスキマが見られ、2m以内の急こう配が特徴。写真は風吹門の石垣。
打込石乱層積
積石の形が不規則で、スキマにも加工した石を打ち込んであります。また表面も平になる様に加工してあります。写真は三ノ丸の石垣。
谷積
平らな石の隅を建てて斜めに積む工法。比較的新しい積み方で、昭和に至るまで道路工事などでも使われていた積み方です。写真は三ノ丸入口の石垣。
城巡りの注意事項
では城内を順番に巡ってみましょう。その前に注意事項をチェック!これらの注意事項は苗木城だけではなく、どこの山城にもいえることですね。安全第一で巡りましょう。
駐車場に車を停め歩いて三ノ丸に向かいます。するといきなりビュースポットがあります。まずはここで写真撮影ですね。
苗木城の本丸を遠景で撮影できます。天気や季節によりいろんな写真を撮る事ができますね。
三ノ丸入口にある風吹門跡。この中が苗木城三の丸です。
『風吹門?どこかで聞いた様な…』
と、思う方もいますよね。そうです。資料館に展示してある移築門はここにあった門なのです。
↑これですね。この門が風吹門にあった城門です。
風吹門の横にある大矢倉跡。もし敵が攻めてきた場合、風吹門を突破しようと攻撃している途中に、この大矢倉から反撃をくらいます。
巨石を利用して築かれた櫓です。
大矢倉跡から本丸を見るとこんな感じです。
城跡ではあまり見かけない牢屋跡。三ノ丸と二ノ丸を区切る大門の左側奥にあります。
かつて建物があり、規模は二間(約3・6m)×四間(約7・2m)ほど。日が当たらない大きな岩の上に建てられていました。
実際に明治時代に起こった苗木藩の政争では、多くの上層武士たちがこの牢屋に収監され、処断された歴史があります。
三ノ丸を抜けると次は二ノ丸です。苗木城跡の石碑もここにあります。
二ノ丸も巨石を利用した石垣群を見る事ができます。写真は御朱印蔵の石垣。
風吹門が三ノ丸の入口門なら、大門は二の丸の入口門です。礎石と土塁の跡がよく分かりますね。
二ノ丸には的場、井戸、武器蔵といった戦を想定した施設跡が見られます。写真は的場跡。
的場とは、弓や火縄銃の訓練場所のこと。写真をよく見てみると奥にこんもりした土盛を見る事ができますね。もしかすると、的を建てていた土盛でしょうか?
本丸に近づくと菱櫓門があり、菱形の石垣があります。登城口に張りだしており、敵が攻めこんできた場合、門を攻撃している敵をここから迎撃できるようになっています。
菱櫓台のふもとにある千石井戸(せんごくいど)。苗木城の一番高いところにある井戸で、どんな日照りの時も枯れる事がなく、千人の飲料水を確保できたといわれたことから、この名前が付きました。ちなみに今でも水が湧いています。
二ノ丸には武器蔵もあります。甲冑などの防具はもちろん、弓矢や火縄銃の諸道具もここに収納されていたのでしょう。建物はありませんが、縁石や礎石は当時のままです。
それでは本丸に突入してみましょう!
本丸に入ると、巨石を活用した築城の様子がよくわかります。
巨石+石垣の作りですね。
写真は苗木城の馬洗岩(うまあらいいわ)。天守台の南にある、周囲約45mの花崗岩質の自然石です。
なぜこの名前が付いたのかというと、次の様なエピソードがあるからです。
その昔、苗木城が敵に攻められた時、水の手、つまり水源を絶たれてしまった事がありました。
しかし苗木城では、『水はまだたくさんあるんだ!』と敵を欺くためにこの岩の上に馬を乗せ、米を馬にかけて水で洗っている様に見せかけたのだとか。
なんか上杉謙信にも同じ様なエピソードがあった様な…
縄張りを見ると、本丸の真下に千人の飲料水を確保できたといわれる千石井戸もあるので、やはり伝説だと思いますが、それにしてもかなりの巨石です。
天守台にはかつて三層三階の天守があった事が分かっています。
現在の建造物は、かつての苗木城天守三階部分の床面を復元(想定)したものです。
柱を乗せるために巨石に窪みを刻んで天守を建てており、現在でもそれらの跡を確認できます。こういった築城センスはあまり例がありません。
建造物は展望台になっており、周辺を見渡すことができます。
周辺の建物は江戸時代と違いますが。、大まかな地形はかつてとあまり変わりがないのでしょう。
この天守台からの景色も城めぐりファンの間では人気です。
岐阜県中津川市の苗木城は、続100名城に指定されているだけあって、遺構の残り具合も良好で私もオススメできる城です。
個人的には私は苗木城や岩村城を築いた遠山氏のファンで、築城センスや縄張りが好きですね。
所要時間ですが、資料館で約20分くらい。城跡で約1時間30分。+αを足して合計で約2時間は確保しておきましょう。
資料館は必ず訪れておきたい施設。これは私の失敗体験ですが、初めて苗木城を訪れた時、確か月曜日で資料館が休みだった記憶があります。
でもその後、訪れてみるとかなり価値が高かったので、休館日は要チェックですね。
そして苗木城のランチですが、中津川IC(インターチェンジ)すぐのちこり村がオススメです。
美容にも健康にも効果が高い【ちこり】という野菜を生産・販売している施設で、ちこりをふんだんに使った料理バイキングがお気に入りです。
あと泊まりで行くなら中津川駅、中津川IC周辺が宿も多くアクセスも便利です。