平成29年(2017)に行われた第10回日本城郭検定の過去問題と解答、そして解説についての記事です。
・出題は50問です。
・試験時間は1時間でした。
・回答は4拓、マークシート方式。
このページには出題の下に正解と解説が記載されています。
城の始まりとされている吉野ヶ里遺跡はどの時代のものか。
正解(2)弥生時代
解説:公益財団法人日本城郭協会では、城の始まりは弥生時代の環濠集落である吉野ヶ里遺跡としています。
次のうち、世界遺産に認定されている城はどれか
正解(3)姫路城
解説:姫路城は平成5年(1993)に世界遺産に認定されました。ちなみに世界遺産に認定されている城は日本では姫路城のみです。(2018年12月現在)
次の城の中で山城はどれか
正解(3)岩村城
解説:山形城と広島城は平城、小田原城は平山城。ちなみに岩村城は日本三大山城のひとつです。(残り2つは奈良県の高取城と岡山県の備中松山城)。
徳川御三家の居城で、有名な大名庭園偕楽園(かいらくえん)がある城はどれか。
正解(2)水戸城
解説:まず徳川御三家の居城は、【尾張:名古屋城】、【水戸:水戸城】、【紀州:和歌山城】なので、岡山城は却下。
そして庭園は名古屋城⇒二之丸庭園、和歌山城⇒紅葉渓庭園(西の丸庭園)なので、答えは2番。
城郭用語の狭間(さま)の説明で間違いはどれか。
正解(4)石を落とすためのもの
解説:狭間は鉄砲や矢で攻撃するために開けられた穴です。
舞鶴城とも呼ばれ、伊達政宗が生まれた城はどれか。
正解(1)米沢城
解説:米沢城といえば上杉領で直江兼続が城主というイメージがありますよね。
でもそれは秀吉が天下人になった頃に領地替えが行われた結果。もとは伊達領で政宗は米沢城で生まれました。
ちなみに山形城は最上氏の居城。二本松城と会津若松城(旧:黒川城)は政宗が攻め落とした城です。
日本で一番巨大な敷地を誇った城はどれか。
正解(3)江戸城
江戸城の敷地面積は総構え全体の面積は230万平方メートルで日本一でした。
城郭と所在地の組み合わせで間違いはどれか。
正解(2)平戸城⇒佐賀県
解説:これは覚えるしかないですね。平戸城は長崎県です。ただ、佐賀県も長崎県も元は肥前国というひとつの国なので間違いやすいのでしょうか?
城郭用語で城の出入り口や曲輪(郭)の出入り口を何というか。
正解(3)虎口
解説:虎口の読みは こぐちです。これもよく出てくる城郭用語なので覚えましょう。
こぐちには狭い道・狭い口という意味があり小口とも書きます。
東北地方唯一の現存天守を持ち、桜の名所でもある城はどれか。
正解(2)弘前城
解説:現存天守は次の12城です。
これを見ても分かる通り、東北地方の現存天守は青森県の弘前城だけです。
城と築城者の組み合わせで間違っているのはどれか。
正解(1)名古屋城―豊臣秀吉
解説:名古屋城の築城者は徳川家康。ちなみに秀吉は現在の名古屋出身ですが、名古屋城築城時にはすでに亡くなっています。
徳川家の譜代大名だった井伊氏が代々城主だった国宝の城はどれか。
正解(2)彦根城
解説:彦根城は252年、十四代にわたり井伊氏の居城でした。
次のうち織田信長が築いた城はどれか。
正解(2)岐阜城
解説:観音寺城は六角氏、甲府城は平岩氏(親吉)、小谷城は浅井氏が築きました。
仙台城は位置する山の名前から別名が付けられたと一般的にいわれているが、その別名はどれか。
正解:(4)青葉城
解説:これは覚えやすいですよ!まず仙台城の住所が仙台市青葉区。そして地元では伊達家の武者行列もある、仙台青葉まつりが開催されています。私はこの祭りの名前で憶えていましたw。
現存12天守のうち、最も標高が高い場所にある城はどれか。
正解(1)備中松山城
解説:これは個々の標高を覚えるまでもなく、日本三大山城の備中松山城が出ている時点で決まりでしょう!
ちなみに日本三大山城とは、備中松山城(岡山県)、岩村城(岐阜県)、高取城(奈良県)です。
雲海に浮かぶ天空の城として人気の高い、兵庫県の山城はどれか。
正解:(2)竹田城
解説:まず全て山城。でもこれはかつてGoogleのCMにもなった竹田城が正解。
忠臣蔵でおなじみの大石内蔵助が筆頭家老だった城はどれか。
正解:(4)赤穂城
解説:忠臣蔵の赤穂浪士(あこうろうし)から赤穂城という覚え方もできます。
新政府軍と旧幕府軍が戦った戊辰戦争で最大の攻城戦が行われた城はどれか。
正解(3)会津若松城
解説:これは平成25年(2013)のNHK大河ドラマ・八重の桜の舞台にもなった会津若松城です。最大の攻城戦というのがポイントですね。
木曽川(きそがわ)沿いの丘陵に立つ国宝の天守を持つ城はどれか。
正解:(2)犬山城
解説:国宝天守は次の5つです。
木曽川という川の名前ではなく、国宝天守を覚えておくとこの問題はすぐに分かりますね。
ちなみに木曽川は尾張国(愛知県)と美濃国(岐阜県)の国境を流れる川。
犬山城は国境の城でもあったのです。
日本海側で唯一の現存天守をもち、宍道湖(しんじこ)畔に立つ城はどれか。
正解(4)松江城
解説:まずどれも日本海側の城。ここでのポイントは現存天守です。
問010でも出てきた現存天守12城はよく出てくるので覚えておきましょう。
また宍道湖(しんじこ)も松江城とセットで覚えたい湖です。
織田信長は天下統一の拠点として安土城を築城した。城では初めてとされる五重七階の豪壮な建造物を建てたが、信長はこの建物を何と呼んだか。
正解(3)天主
解説:信長は天守ではなく天主と呼んでいました。
櫓の中で写真の様な長い櫓を何というか。
正解(1)多門櫓
解説:多聞櫓とも。松永久秀の多聞山城で初めて建てられたとも、多聞天を祭ってあったからともいわれます。
次のうち天守が無い城はどれか。
正解:(4)山中城
解説:ここでも現存十二天守の知識が役に立ちますね!高知、弘前、彦根は現存十二天守に含まれています。
ということは、山中城が天守が無い城。
別名・玉藻(たまも)城と呼ばれている城はどれか。
正解(3)高松城
4つのうち高松城だけが海城です。
万葉集の時代から高松城周辺の海域が玉藻の浦と呼ばれていたといわれたため。ちなみに現在、高松城がある公園も玉藻公園。
出世城と呼ばれることのある徳川家康ゆかりの城はどれか。
豊臣秀吉が天下統一の総仕上げとして最後に落城させた戦国一の総(惣)構(そうがまえ)を誇った城はどれか。
正解(4)小田原城
豊臣秀吉と天下統一というのがポイント。
天正十八年(1590)、豊臣秀吉は大軍で後北条氏の小田原城を取り囲みます。三ヶ月の籠城戦の末、後北条氏は降伏。これを小田原征伐(小田原合戦、小田原の役とも)といいます。
写真の様な窓を何というか。
正解:(1)華頭窓
解説:華頭窓は中国から伝来した禅宗様の窓。窓の上枠を火炎の形(火灯曲線)もしくは花形(花頭曲線)に造ったデザインから火灯(華頭)窓と呼ばれています。
大和政権が東北地方の拠点として築いた多賀城は何県に有るか。
正解:(2)宮城県
解説:多賀城の住所は宮城県多賀城市市川字城前です。
写真の御殿は国宝の二の丸御殿だが、どの城にあるか。
正解(3)二条城
国宝に指定されている二の丸御殿があるのは二条城です。
チャシとはどの地域でつくられた城のことか。
正解:(4)北海道
解説:チャシとは主に近世に北海道の先住民であるアイヌが築造したある種の施設。沖縄県の城はグスクという。
総高60mの日本一高い石垣を持つ城はどれか。
正解(1)丸亀城
解説:これはたまに出てくるので覚えておきましょう。日本一高い石垣を持つ城は、香川県丸亀市の丸亀城です。
大坂城の最大の巨石はどれか。
北陸の城で、古風な外観に安土・桃山の雰囲気を残す現存の天守がある。それはどれか。
正解:(4)丸岡城
解説:まず七尾城と金沢城は天守がありません。そして富山城は昭和の模擬天守。しかし丸岡城は現存天守です。
日本で最後に築城された旧式城郭といわれている北海道にある城はどれか。
正解(2)松前城
解説:これはちょっとしたヒッカケ問題です。ます松前城と五稜郭の築城年代を見てみましょう。
これを見ると五稜郭のほうが後に築城されていますが、旧式城郭というのがポイントで、五稜郭は15世紀にヨーロッパで考案された稜堡式(りょうほしき)城郭。
つまり出題の旧式城郭だと松前城のほうが正解。
城下町より城が低地にある、穴城と呼ばれる縄張の城はどれか。
正解(1)小諸城
小諸城(こもろじょう)は、長野県小諸市にある城(100名城)。
なぜ穴城と呼ばれるのかというと、表向きの門である大手門が一番高いところにあり、そこからどんどん低くなり、一番低い場所にあるのが本丸だからです。
大坂冬の陣で大坂城平野口の南に出丸を築き、豊臣方として活躍した武将はだれか。
正解(4)真田信繁
解説:まず(3)大谷吉継はすでに亡くなっており、(2)毛利輝元は東軍(徳川方)に付いています。出題にある出丸というのが真田丸のことなので、正解は真田信繁(真田幸村)です。
信長の妹お市の方が嫁いだ浅井長政の居城はどれか。
正解(1)小谷城
解説:安土城、岐阜城は信長の城。長浜城は羽柴秀吉の居城です。
次の天守のうち、廻り縁がない城はどれか。
正解:(4)姫路城
解説:まず廻り縁というのは、天守最上階に作られた外側に出れるフチのこと。お城のベランダみたいな部分。
犬山城でいえばこの部分。
では姫路城天守を見てみると…
あれ?
犬山城みたいに廻り縁が無いですね。
ということで、『答え』は(4)姫路城でした。
ちなみに丸岡城天守には廻り縁がありますが、外に出ることはできません。形骸化した飾りみたいなものです。
熊本城を築城した戦国武将はだれか。
正解:(1)加藤清正
解説:熊本城を築いた加藤清正は熊本で親しまれ、『清正公』(せいしょこ)さんと呼ばれています。
写真のようなすき間なく石を積む、石垣の積み方を何というか。
正解(1)切込接
これは石垣の積み方を覚えるしかないですね。切込接の石垣は主に近世城郭でよく見られます。
次のうち天守がない城はどれか。
正解:(2)郡山城
解説:ヒッカケなのか分かりませんが、ここでいう吉田城は、広島県安芸高田市の吉田郡山城。毛利元就の居城です。
中世の山城で270もの曲輪があった城です。
徳川家康は関ヶ原の戦い後、大坂城包囲網をつくるために諸大名たちを動員して名古屋城、篠山城などを築城した。その築城はなんとよばれているか。
正解(2)天下普請
解説:ここでいう天下普請とは、一般的には築城の意味ととらえられていますが、築城だけではなく街道(道路)を整備したり、治水のために河川を改修するなど土木工事も含まれています。
また、この天下普請ネタは3級、2級、準1級でも出てきますので、天下普請で築かれた城を覚えておくと、後々にも役立ちますよ。
【天下普請の城】
高田城(越後・新潟県)
江戸城(武蔵・東京都)
駿府城(駿河・静岡県)
名古屋城(尾張・愛知県)
加納城(美濃・岐阜県)
大坂城(摂津・大阪府)
伊賀上野城(伊賀・三重県)
福井城(越前・福井県)
彦根城(近江・滋賀県)
膳所城(近江・滋賀県)
二条城(山城・京都府)
丹波亀山城(丹波・京都府)
篠山城(丹波・兵庫県)
天守のなかでも、小天守や櫓をもたない形式を独立式天守と呼ぶが、次のうち独立式天守はどれか。
正解:(1)丸岡城
この天守の構造もよく出てくる問題です。
松本城 梯郭式+輪郭式
岡山城 梯郭式
松江城 輪郭連郭複合式
搦手門(からめてもん)とは、城のどの出入り口にある門か。
正解:(4)裏口
城の正面口を大手、もしくは大手口(大手門)といい、裏口を搦手、もしくは搦手口(搦手門)といいます。
標高132mの勝山山頂に本丸をおく連格式平山城で、複雑な構成をした天守群をはじめ、数多くの櫓や門を見ることができる現存天守はどれか。
正解(1)伊予松山城
まず4つとも現存天守。ポイントは勝山。
城、あるいは曲輪の出入り口である虎口の守備をさらに堅固にするために土塁や石垣を配置し、周りに堀をうがった小さな区画の事をなんというか。
金沢城などに見られる壁面に平瓦を並べて貼り、瓦の継ぎ目に漆喰をかまぼこ型に盛り付けて塗り固めた壁はどれか。
正解:(4)海鼠(なまこ)壁
解説:これが海鼠壁
城と所在地の組み合わせで間違っているものはどれか。
写真の岩国城のような下階より上階の平面を大きく造って張り出させた造りをなんというか。
正解:(1)南蛮造り
解説:別名を唐造りとも。現在では小倉城(福岡県北九州市)、岩国城(山口県岩国市)天守のみ。
次のうち国宝に登録されていない城はどれか。
正解:(4)丸岡城
解説:国宝に指定されている天守を持つ城は5つあります。(2018年12月現在)
姫路城(兵庫県)
松本城(長野県)
犬山城(愛知県)
彦根城(滋賀県)
松江城(島根県)
ちなみに丸岡城も現存天守なのですが、国宝には指定されていません。